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種名人と龍

夏野菜の収穫が全て終わり、
なかよし(特別支援学級)農園は、冬野菜の種まきが始まりました。
単なる種まきの授業の予定も、
たけちゃんにかかると、驚きの展開になります。

今回蒔いたのは白菜の種です。
直径1mmにも満たない、小さな小さな種。

「こんなに小さな種から、あんなに大きな白菜ができるなんてね・・・」
私の疑問なんて、その程度のものですが、
たけちゃんの中ではまた、数々の疑問が膨れ上がってくるのです。

「どうしてこんなに黒い種から、白や緑の葉っぱが出てくるのかな?
種の中身は何色なんだろう?」

たけちゃんのその言葉を受けて、
「じゃあ、見てみようか。」と言って、
小さな小さな種を半分に切って見せてくださいました。
(おかげで、体の大きなO先生が実は手先が器用だということもわかりました。)

種の中身は白でも緑でもなく、クリーム色でしたが、
細かいモノを見るのがまだ苦手なたけちゃんは、
先生方がいろいろ工夫してくださるのですが、確認しづらそうでした。

その様子を見ていたベテランのI先生が、
「そうだ、たけちゃん、良いモノがあるよ。ちょっと待っていてね。」
何かひらめいたようで、
他の教室からほこりまみれの機械を持ってきてくれました。

『実物投影機』と書いてあるその機械は、
若い先生はおそらくその存在さえもご存知ないらしいもので、
テレビと接続してピントを合わせると、
種の様子を拡大した状態でテレビの画面に映し出されました。

「電子黒板の前身みたいなもの。」とI先生は表現されていましたが、
小さいモノや姿勢によっては見えづらいものも、
この機械があれば、もっとたけちゃんの理解は深まりそうです。

ちょうどメダカが卵を産んだところで、
「これなら卵の観察もしやすいね~。
いろいろ授業で使えそうだよ。」と、
O先生のイメージも大きく膨らんだようでした。

せっかく学校にあっても、誰にも使ってもらえなかった実物投影機、
ほこりもきれいに拭いてもらって、
なかよしの教室に新たな居場所ができました。
これからはたけちゃんの授業でたくさん活躍してもらえるといいな。


一方のたけちゃんはというと、
種の中身が白でも緑でもないことが、不思議でたまらない様子です。
「根っこの色は種の色と同じなのかな~。」そう言うと、

あらかじめI先生が鉢で発芽させていた白菜の苗を準備してくださっていて、
そのうちの1本を失敬して、
実物投影機に種と並べて置いてくださいました。

土や太陽や水と種との関係を考えて、
色に対する疑問は、どうやら自分の中で解決できたようです。

ずっと種を観察していて、たけちゃんはこんなことを言いました。

「種の中に全てがつまっている。
それは宇宙も同じ。
だったら、僕、種名人になろうかな?
種のことがなんでもわかるようになったら、
宇宙のことだってわかるようになるでしょ!?
宇宙に行って見てくるより、種の観察をするほうがむずかしくないでしょ!?」

1つの小さな種から大きな宇宙に思いを馳せることができるたけちゃん、
我が子ながら、その能力にほれぼれしてしまいます。


4年生の図工の授業は、毎年この時期龍の絵を描きます。
昔、この地域に悪龍がいて、人々が退治して池に沈めたという言い伝えがあるそうで、
「悪龍退治」というテーマで描くそうです。
地元の資料などでその話しのことを調べると、
「その言い伝えは、人々の勝手な解釈だと思う。」と、たけちゃんが話し始めました。

「きっと昔、龍はいたと思う。
龍と人は、もともとは仲良くしていたんだ。
でも、何かがあって、龍が現れなくなっている間に、人間が変わってしまった。

久しぶりに会えた人間と、龍はまた仲良くできると思っていたのに、
人間は龍を怖いと思ってしまったんだ。
どうして怖いと思うかわかる?
それは、龍のことを知っている人間がいなくなってしまったから。
知らないということは怖いんだよ。

それで、人々は勝手に龍が悪いものだと決めつけたんだと思う。

『悪龍退治』というテーマだとしても、
僕は涙を流している龍を描きたいです。」

指談を通して、先生に思いをしっかり伝えたたけちゃんでした。
そして、こんなことも。

「どうして龍が、悪いモノの象徴みたいになってしまったのだろう。
でも一方では、神様のようにも扱われている。

龍は僕と似ているかもしれない。」


たけちゃんの話しが本当のことかどうかなんか、
そんなことは問題ではなくて、
ただただ、たけちゃんの言葉に私は、
いつも心の奥の扉をノックされるような響きや衝撃があるな~と
感じているのです。


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半べそたけちゃんとブラックたけちゃん

2学期が始まって、あっと言う間に2週間が過ぎてしまいました。

はじめの1週間は気温の変化についていけなかったり、
学校生活のリズムになかなか合わせられなくて、
ちょっとお疲れの様子のたけちゃんでしたが、
2週目は目を開けていられる時間もずいぶん長くなり、
放課後もリハビリなど、連日スケジュールがいっぱいでしたが、
意欲的に活動できるようになってきました。

毎日学校に通えるようになって、お友達と過ごす時間が増えてきて、
いつもかっこいいことばかり言っていたたけちゃんでしたが、
この頃は、子供らしい反応や言葉が増えてきたように思います。

「えっ、たけちゃんが!?」と、その意外性に、
ますます楽しい時間を過ごしている今日この頃です。


なかよし(特別支援学級)の理科の授業で
夏の間に育てた野菜の観察と収穫をした時のこと、
隣りのクラスのYくんとI先生が、中庭で大きなバッタも捕まえました。

「たけちゃんにも、バッタ、見せてあげよう。」と、
手で捕まえてたけちゃんの目の前にバッタを持ってきてくれました。
まだじっと見つめることが疲れやすいたけちゃん、
ちらっとバッタを見て、すぐ目をそらしてしまいました。
もうちょっとよく観察すれば、元気のいいバッタだと気付けたと思うのですが・・・

「せっかくだから、たけちゃん、バッタ持ってみる!?」
I先生がそう言ってたけちゃんの手の上にバッタを置いてくださると、
むずむずとバッタが動き出しました。

そのとたん!!!!!

たけちゃんの顔がみるみる真っ赤になって、今にも泣き出しそうです。

I先生が慌ててバッタをとって、
「ごめん、ごめん、たけちゃん、いやだったか!?」
と、何度も何度も頭を下げてくださいました。

けして虫が嫌いというわけではないのです。
ただ、この時はこのバッタが動くとは思わなかったから、
ついびっくりしてしまった・・・と後で教えてくれました。

「でも、たけちゃんが泣いているとかわいそうなんだけど、珍しいから、
『たけちゃん、泣いているの~~!?』って、
ついつい嬉しくて見つめちゃうんですよね~(^_^;)」
と私が言うと、

ずっと申し訳なさそうに下を向いていたI先生がニヤッと顔を上げて、

「先生も、たけちゃんがこんなにわかりやすく反応してくれて、
泣かせちゃったけど、すごく嬉しい!!」っておっしゃって、

本当に嬉しかったんだと思うのです、
あっという間になかよしの担任と介助員の先生達、
校長先生にまで、知れ渡ってしまいました(^_^;)


「虫が苦手だと思われちゃったかな・・・
あーあ、失敗」と、
ちょっとショックを受けてしまったたけちゃんでした。


そんなことがあった後日、
10月にある学校内のお祭りで、
1~6年生までの縦割り班ごとにお店を出すのですが、
その出し物を何にしようか?と話しあっていた時のことです。

介助員の先生がたけちゃんに何がやりたいか確認してくださいました。
だいたい子供たちは例年やっている出し物を提案するのですが、
たけちゃんは指談で「くりひろいきょうそう」と言いました。
おそらくやったことがなかったので、どんな内容か確認すると、

「栗のイガイガを手で持って、いくつ運べるかっていうゲーム」

「たけちゃん、うそでしょ!?
手で持ったら、痛くて無理だよ~(>_<)」

「じゃあ、トングでも使う?」
淡々とたけちゃんが答えます。

「うわ~、たけちゃん、ブラックすぎるゲーム・・・
とりあえず、それを提案するのはやめておこうね。」

そう言って、みんなの前で発表することはなかったのですが、
介助員のS先生、たけちゃんがこんなブラックなことを言うのが、
すごく意外で、言いたくて言いたくてたまらなかったんだと思います。
やっぱり、他の先生にもあっという間に知れ渡ってしまいました(^_^;)


それを聞いた先生方のセリフが皆さん一緒で、
私も思わず笑ってしまったのですが、

「え~!? やだ、たけちゃん。
じゃあ、たけちゃんは栗のイガじゃなくて、バッタ持てばいいじゃん。」

あまりにも同じことを言われ、
「え~っ、誰も僕の味方になってくれない(>_<)」
と、心なしかしょぼーんとしているように見えるのでした。


そんなたけちゃんの表情の変化を、
先生達が「嬉しい」「楽しい」「たけちゃん、おもしろい」と
言ってくださる、なんでもないことが、

そばで見ていて、母は嬉しくて嬉しくてしょうがないのです。
プロフィール

Author:折りばら
たけちゃんに出会って、このブログを訪れてくださった皆様、ご縁をありがとうございます。
生まれつきの重い障がいをもちながら、地域で当たり前に生活できることを目指すたけちゃん、その周りはいつも愛と笑顔があふれています。時にはとびきり素敵な経験をさせていただくこともあります。
このブログを訪れてくださった皆様に暖かい風が吹くことを願って、たけちゃんの日常をお届けできたら嬉しいです。

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